2011年12月02日

ゲームミュージックらしさ

よくあるリクエストの一つ。

「いかにもゲームミュージックって感じでお願いします。」

なんとも抽象的なリクエストなんだけど、まぁ・・・何が言いたいのかは解る。

ゲームミュージックがゲームミュージックらしかったのはいつ頃までだろう?
実機(ゲーム機)上でFM音源を鳴らしていた頃くらいまでかなぁ。

ファミコン等の8bit機は当然の事、
PCやその後の16bit機で使われていた音源は、良い悪いは別問題として、
音に説得力が無く、本物の楽器とくらべると非常にうすっペラい音になってしまっていた。
だから、ヘボイ曲はヘボくしか再生されないし、聞き所の無い曲は耳に残らない。
その結果、ゲームのBGMはメロディーのたった曲でないと成立しにくかった というのはあると思う。

さらに打ち込みのテクニックも重要。
発音数の問題なども鑑みた上での作曲テクが必要で、そこから産まれてくる
ゲームミュージック特有の雰囲気というものもあったハズ。

 PSG3声で曲を奏でるなら、符割を細かくしないと地味になってしまう・・とか、
 ロングトーンで鳴らすと間延びするので、トリルを入れる・・とか、
 エフェクターなんて無いので、休符の隙間に音量を小さくしたディレイ成分を手打ちする
 などなど。

しかし、CD-Romの出現と共に状況は一変。
ストリーム再生が可能になって、音質の問題から一気に解放される事になる。
いままでやりたくても出来なかった事が、いくらでも出来るようになったのだ。
さらに、ゲームミュージック特有の「打ち込みテクニック」も不要となり、
ゲーム音楽に携わっていなかったクリエイターを、ゲーム開発に参加させる事を可能にした。
この開発上の人的変化も「ゲームミュージック臭さ」が薄れていった要因の一つだと思われる。

さらに、もう一つ。

先にも書いたように、昔の音源には音の説得力に欠けていたので、
長いノートで聞かせる曲というのは、基本的に苦手だった。
白玉の音符を多用する映画音楽、環境音楽のようなものは表現しにくい。
ディストーションギターの表現も、ゲーム機音源ではどうしても弱くなる。(PCMは無しで)
ロック・・・とまでは言わないまでも、ハードロック、ヘビメタ等のジャンルは
ゲーム機上で打ち込んでみても、それっぽく聴かせる事が凄く難しいジャンル。
さらに難しいのは人の声。
容量に任せてPCMで力技で鳴らす事は可能だったかもしれないが、
他に使い回しの効かない(詩のある)唄を、いくつもROMに放り込む事は
よほど恵まれた環境と状況でないと無理な話。
唄ものがゲームミュージックの世界では異質な存在であった事は間違いない。
逆に唄ものを入れる事で、その作品が"浮いてくる"という効果を狙ったものはあったけど。

なんとなく存在したジャンルの壁。
これもストリーム再生によって破壊され、ゲームミュージックは一気にボーダーレスとなった。

ゲームミュージックというカテゴリーは存在するが、その中身は非常に簡単かつ曖昧。
"ゲームで使われている"という事には間違いないが、
音楽としてなにか特徴があるのかと言えば、それを見つけるのはなかなかに難しい。
確かにゲームのジャンルによっては、わかりやすい"それっぽさ"は存在するのだけれども、
それはどちらかと言うと、作家の個性と言えなくもない訳で。
アニソンというジャンルの方が、どこかハッキリしたものがあるのではないだろうか。


ひとつ書いておくと、
自分は昔のゲームミュージックを懐かしみ、
今のゲームミュージックを憂いている訳ではまったくない。
確かに、昔のゲームミュージックの良さがスポイルされている所もあるかも知れないが、
それは、方向性の問題だと思うし、そのゲームがソレを求めているのかどうか?にもよる。
ゲームミュージックは、曲単体では不完全な存在なのであって、
ゲームの中で・・・ゲーム画面上で流れた音がゲームミュージック。
なので、曲単体で語るのはそもそもナンセンスなお話なのである。

ゲーム機の表現力があがるのは結構な事だし、それはヴィジュアル面でも同じ。

なので、なんとなく分析してみただけ。
ほんとのほんとに。

ただ、表現の幅がひろがった事で、クリエイター側が試されている部分はある。
上に書いているように、いくつかの壁が壊された訳だが、
その壁を壊すには、多くの努力と勇気を必要とする。

次回はその辺を書いてみようかなと。
posted by h_asanaka at 10:01| Comment(0) | column-ゲームミュージック
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