2012年04月01日

防音(マンションの場合)の話 番外編 3

前回のエントリーで書いたような事を自分でやってみた結果、
部屋は随分デッドになり、作業はやりやすくなりました。
ただ、防音に関しては、隣の部屋にどれだけ音漏れしているのかを
確かめる術が無いので何とも言えません。
実際、防音に直結した工事は二重窓くらいの物で、その他の作業はほぼ全て吸音目的。
吸音と防音は全くの別物ですが、結果として防音に繋がっているハズですので
何もしないよりは、良い結果になっていると思いますが。。。。

自分でやった作業は、DIYと言うのもおこがましいくらい簡単な作業。
基本、ビスと両面テープを使って吸音材を固定しただけですからね。
なので、余裕があればもっと追い込んでみたかった箇所は多々あります。
今回はそうい部分をいくつかあげてみようと思います。

◯床
まったく何もやっていません。
カーペットを引きはがし、根太材を仕込んで隙間にグラスウールを敷き詰め・・・
などと、計画、模索はしていたのですが、やはり素人作業であるという事で、
逆に騒音を増す事になり、近隣の方々にご迷惑をおかけする可能性もあるかも知れないので
見送りました。

ただ、簡易2重床のような事は考えていて、
ドラムのステージのような物を複数個造り、それを部屋に敷き詰め、
二重床と同じ効果を得る事はできないか?というアイディアだけはあります。
言ってみれば二重床を分割するだけの話なんですがね。


◯PS

マンションの部屋では
room.jpg
このように正四角形ではなく、柱のようなでっぱりが数カ所ある事が多いと思います。
このでっぱりは建物の柱である事が多いのですが、何らかのパイプスペースか
配線スペースをかねている場合もあります。
このスペースにはダクトが通っていたり、電線が通っていたりする訳ですが、
中が空洞になっていて、太鼓現象がおきやすい状態です。
うちの作業部屋にもこのような出っ張り部分がありますが、さすがに
このでっぱりを壊して中に吸音材(断熱材)を詰め込むという作業を
個人でやるのは無理があるのでスルーしています。
かなり気になる箇所ではあるのですが。

もう一つ挙げると、エアコンと室外機と繋ぐ穴。
ここもなかなかに手のつけようが無いところですが、確実に音の漏れるところ。
当然プロの仕事だと、このあたりも抜かり無く処理してくれるハズです。


◯天井

前にも書いたように、吸音材を貼ったのみ。
天井に関しては、最初からあまり気にはしていませんでしたので、
まぁこれはOKかな。

posted by h_asanaka at 01:48| Comment(0) | column-防音

2012年03月22日

防音(マンションの場合)の話 番外編 2


今回は、「自分の作業部屋で何をやったか」を書いてみます。
基本的に、「素人である私が短時間そこそこの効果を得るために行った作業」ですのであしからず。
これでバッチリって事はまず無いので。(あたりまえ)
それと、この処理をする事によって「どの程度壁に傷がつくのか?」みたいな事も書いておきます。

で、素人が・・・と書いておきながら、業者にやってもらた事もありまして。
と、言っても防音工事をやっている業者に頼んだ訳では無いので、ごくごく簡単な工事です。
以前書いた内容でもあるんですが、まず電気工事。
既存のコンセントをホスピタルグレードの物に交換して、さらに別途専用回線を引きました。
こちらの記事がソレです。これは防音とはまったく関係がないな。

それと窓を二重窓にしてもらいました。費用は確か五マン強ほどだったと思います。
思ったより安くついたのですが、実際、モノはかなりちゃちぃです。
こんなのでも、有ると無いでは大違いなのか?と思うくらいちゃちぃ。
お金をかければ程度の高い物がいくらでも用意できるんでしょうが。

ここからがDIY。

まず、壁ですが
遮音シート.jpg
石膏ボード側には遮音シートを貼りました。
タッカーというホッチキスの化け物の様な物で壁に打ち付けていくのですが、できる穴は画鋲と同程度です。
シートは重い物程効果がありますが、一番軽い物でも一人で作業するのはちょっと辛い程の重さはあります。
軽いものであれば、2枚重ねくらいにしないと効果は出ないかな。(自分は一枚ですが)

防音グッズ全体に言える事ですが、ソレを使ったら思ったような効果がすぐでるのか?というと
残念ながら出ない事の方が多いと思います。
しかし、それはグッズの善し悪しでは無くて、防音処理にスキがある場合が多いような気が。
壁に遮音シートを貼っても、ドアに隙間があれば当然音は漏れますし、シートの隙間からも音は漏れます。
いかに密閉するか?というのが基本中の基本。
あ、あと、「期待し過ぎ」ってのもあると思う。
専門の業者が居るくらいだから、そんな簡単なモノであるはずが無い。

遮音シートはドアにも貼っていますが、さらにドアの縁にはパッキンを貼付けました。
自分はこちらから購入しましたが、ホームセンターにいけば、すきま風防止テープなるものが売っているので、
それでいいのでは無いかと。剥がそうと思えばいつでも剥がせます。

さらに、壁には音の反射を抑えるために
GCボード.jpg
GCボードを貼付けています。とりあえず、スピーカーからダイレクトに音が当たるであろう箇所に採用。
んで、このままではあまりに色気が無いので、伸縮性のある布を買ってきて全体を覆っています。
布とGCボードの固定は両面テープで。

gc-1.JPG
こんな感じ。ちょっとはカッコがついているかと。
黒と赤の布を使ってます。

石膏ボード側は長めのビスで六ヶ所固定していますが、細い隠しクギでも止める事はできました。
壁に出来る穴としては後者の方が全然小さい。
対して、コンクリート壁の方は両面テープで貼付け。ただし、粘着力の強いものでないと厳しく、
自分はコニシのボンドテープなる物を使っています。(コンクリート直です)

gc-2.JPG
テープは見えていませんが、こんな感じ。上のグレーの部分はコンクリート剥き出しです。
関係ないけど、この布の模様が激しく気に入らないので近いうちに変えたい。
ファブリックパネルっぽくしたくて、ここだけ他とは違う布。
マリメッコの布とか使いたいけど、えらい高いっす。
GCボードは立てかけておくだけで効果があるので、必ずしも壁に固定する必要は無いです。
家具で押さえつけるだけでもOK。
ただ、中のグラスウールが飛散するとチクチクしますので、あまり安易に触れないように。

上2つの画像に写っている、別のデコボコした吸音材はヤフオクで出品されている物です。
GCボードほどの吸音効果は無いと思いますが、超デッドな部屋にはしたくないので、使い分け。
壁が平面で無くなるという点もポイントかと。これは両面テープで貼付けています。
セキスイの表面がボコボコしたテープですが、結構良いです。

と言う訳で
ten.JPG
天井にも採用。

床はそのままカーペットです。
が、ラグくらい敷こうかな。見た目が良く無いので。

これらの処理のおかげで、もの凄かったフラッターエコーは無くなりましたし、
部屋がデッドになった分、音像もクッキリ、ハッキリしました。
ただ、出音にはまだまだ満足していないので、さらなる研究が必要なのも事実。
そのあたりの事も機会があればBlogに書いてみます。

ここからはおまけ。

rg.JPG
レトロゲームコーナー。
遊びに来てくれた人が、リラックスできて楽しめるように。
クラークスの箱とか見た目があまりにヒドいので、改善の余地がかなりあります。
やっぱりレゲーは14インチのブラウン管に限るわぁ。もっとレトロなデザインのテレビがあればいいのに。
そのうちファミコンも導入予定。
一応、音屋らしく音はテレビからではなく、スピーカーから。

それと、
kg.JPG
ギターは壁掛けに。ギターをおいておくスペースってかなり無駄。
これで随分スッキリしました。

番外編はもうちょっとだけ続きます。

posted by h_asanaka at 14:03| Comment(0) | column-防音

2012年03月14日

防音(マンションの場合)の話 番外編 1


これまで長々と書いてきた防音の記事だが、
実はここ一年くらいで調べた事や気づいた事がほとんどで、
もともと特別詳しかった訳ではない。
そもそも書いている内容も、特別専門的な内容でもないし。

「作業スペースの改善の必要性」を強く感じたので、いろいろ自分で調べ始めた訳だが、
そのスタートは引越の予定がたったから。
随分前から作業スペースの件とは関係なく、「そのうち引越〜」と、考えてはいたが、
引越なんて相当に骨の折れる作業だし、なかなかきっかけも無く実行できずにいた。
子どもが産まれてようやく重い腰をあげた感じ。
そのタイミングと作業スペース改善の必要性を感じたのが同時期だったという訳。


引越するぞ!と決めたからには、まず物件探しを始めないといけない。
ここでまず、
 それなりの広さの作業スペースが確保できる事。
 インターネットの環境が整っている事。
 防音、遮音に関して、できるだけ不安要素が少ない物件。
等の条件を出した。

かなりの数の物件を見たが、まぁ面白いこと、面白いこと。
色んな建物があって実に面白い。
大々的にリフォームするプランも検討し、間取り図をおこしてみたりもしたが
これも面白かった。
ただ、全ての条件にドンピシャ!という物件はまず無い。
(もちろん、作業スペース以外の条件もあるわけで。。。)

「ある程度広さのある部屋をもつ物件」っていうのがすごく少ない。
4LDK→3LDKにして大きな部屋を造ろうと思っても、都合良く一つにできる部屋が無かったり。
最終的には手元の選択肢の中からベストと思えるものをチョイスしないといけない。
結局、何かしらの妥協が必要なので、探しているときが一番楽しいと思う。

防音、遮音とは関係ないけど、ここのHPはリフォーム事例が数多く掲載されていて、
「どれだけの事が出来るか?」って事が想像でき、役に立った。
(実際にはほとんどリフォームしていないんだけど)

ヤマハのアビテックスのような防音室は、その素材自体の防音性能も高いが、
実は「部屋の中に部屋がある」というその状態にもおおいに効果がある。
(イメージとしてはこんな感じ。)
ならば、部屋の中に部屋がある状況を作り出してしまえばよい訳で、
その余分なスペースを、機材収納スペースやウォークインクローゼットにしてしまえば一石二鳥。
服は吸音効果も期待できるので良い感じ。
中にはマンションであるにも関わらず、土間を作ってしまう人もいるので、全然アリな話。
次、引っ越す時には・・・と未だに野望を抱いている。

たぶん、続く。

posted by h_asanaka at 11:52| Comment(0) | column-防音

2012年03月09日

防音(マンションの場合)の話 5


なんだかんだ言って、新しいマンションが遮音性にすぐれている。

結局そういう結論になってしまって、我ながら「なんじゃそりゃ」と思わなくも無い。
(賃貸マンションの場合はそうとも言い切れないけど。)
しかし、「新築」という理由だけで物件のお値段、賃料は高くなるし、
そもそも都合良く新築物件が見つかるとも限らない。

と言う訳で、「音を出せる部屋を設けたい」という理由で引越を考えるとき、
物件にどういった条件をつけていくか。

1.立地

これは人それぞれ様々な事情が絡みあうだろうが、そういうのは抜きにして。
隣が大型アミューズメント施設だったり、「家出て一分の所に踏切があります」みたいな場所はツライ。
つか、音出し関係なくつらいわな。。まぁ、常識的な範囲で考えられればいいかと。
ただ、そういう場合は物件自体に何らかの対策が施されている事もあるので、
あえてそんな場所を調べてみる というのもアリかもしれない。(高速道路、空港の近く等)
さらに付け加えると、周りが五月蝿いぶん、こちらの音が伝わりにくい・・・という事も言えたりもする。


2.構造

RC構造で。


3.部屋の条件(全体)

角部屋、階下に居住スペースが無ければ(音漏れの心配の点では)理想的。

◯2階角部屋で、下の階は集会場や商業スペース
◯1階でとなりはエレベーターや階段
◯メゾネットタイプのマンション。
等。
ただし、商業スペースやエレベーターの音が、けっこうな騒音である事もあるので、
時間帯を分けて現地でチェックしてみると良いかも。

GL工法、遮音処理のされていない二重床はできれば避ける。
あと、電気容量もチェックしておいた方が良い。
管理者にお願いすればアップできる場合もあるけど、
「容量アップの要望に応え続けると、建物自体の電気容量をオーバーする」
という懸念材料が出てくるので、全く受け付けてもらえないかも。
IHコンロ禁止とかは、多分そういう理由だと思う。


3.部屋の条件(音だしスペース)

部屋の広さ。じつはこれが一番ネックだったり。
できれば8畳以上は欲しい所だが、リビング以外にそんな部屋のある物件って極端に少ない。
中古マンション購入→リフォームを考えている場合でも、
壁式構造だと部屋の拡大ができないので注意。


賃貸の場合は現状の素性が特に重要だが、
「購入→リフォーム」の場合は、なんらかの対策がとれる可能性があるので、
リフォーム内容と相談しつつという事になる。

特に、一度スケルトンの状態にまでもっていく大規模なリフォームであれば、
建材にも拘る事ができるので、既存の部屋を防音仕様にする工事よりも、
割安で、そこそこの効果を得る事ができる(かも。)
どさくさまぐれで(嫁に内緒で)防音に力を入れてみたり(笑。
こっそり「ここだけ断熱材変えといて」「鉛シート入れといて」とか。

posted by h_asanaka at 13:29| Comment(0) | column-防音

2012年03月08日

防音(マンションの場合)の話 4


ここまで、マンションの構造の違いによる遮音性能の差を書いてきたが、
ピアノやドラムを奏でる事を目的とした防音を望むのであれば、
マンションの新古を問わず、デフォルトの状態のままではまず無理。
業者に入ってもらって、本格的な工事を行わない事には自由に弾けないだろう。

しかし、DTMのミックスレベルの話なら、RC構造のマンションであれば、
多少の工夫は必要かも知れないが、それなりに音を出しても問題ないレベルではあると思う。
深夜とかはまずいけど。

一応、ここで書こうと思っている事は、DTMのミックスやボーカル録りレベルで、
どういう部屋が適していて、どういう部屋にどのような問題が発生するか?という話。
隣、階下に居住スペースの無い部屋であれば、随分と気が楽なんだけどね。

これまでのエントリーでの結論として
「GL工法の壁、吸音処理のされていない二重床を採用している部屋は音だしに向かない」
という事が言える。
床に関しては、音がそのまま階下にもれる事はあまり無いが、低音が壁を伝って階下へと響く。
足でリズムをとる癖のある人は、その音が階下に響く事もある。
物件を選べる状況にあるのならば、この条件に当てはまる物件は避けた方が良い。


次に、コンクリート壁が剥き出し、あるいは直に壁紙 のような部屋の場合。
防音の面では前述の部屋よりは良い状況と言えるが、音響の面で大きな問題がでる。
コンクリート壁は遮音性が高い分、めちゃくちゃ音を反射するのである。
ウチはこのパターンにあたる訳だが、夜の静かな時だと、二つ折りの携帯電話を開く音の響きさえ解る。
手を叩いてみると、ビィィィィィンとフラッターエコーが。もう、鳴き竜の嵐と言った所。
とにかく音を反射しまくるので、音の定位感が狂いまくる。
ウチは戸境壁がコンクリートで、その対面が石膏ボードの壁のパターン。
room1.jpg

図のようにスピーカーを設置した場合、パンを左に振り切れば出音も左にふれるが、
右に振り切った場合、コンクリート壁の反射が強すぎて、センターに聞こえてしまう。

 この場合、コンクリート壁を背面にして、スピーカーを設置すればマシな状態にはなるが
 やはり音の反射は凄まじいので、音像がぼやけたり、バスレフが後部にあるタイプのスピーカーだと、
 低音の持ち上がりが凄い事になるかもしれない。

当然、このような状態なので、マイクを使った録音にもまったく適していない。

この事から、コンクリートと比べ、石膏ボードがいかに音を通してしまっているか?という事も解る訳で、
ボードの向こう側に仕込まれる断熱材(吸音材)が、いかに有効か?という事も想像できる。


音響の面ではGL工法云々の部屋の方が、それぞれの壁面の条件が近くなるのでマシだと思う。


続く。
posted by h_asanaka at 12:16| Comment(0) | column-防音

2012年03月07日

防音(マンションの場合)の話 3


今回は床、天井の話

床に関しては、前回書いたようにコンクリートの上に「フェルト+カーペット」というパターンがある。
新しいマンションにはまず無いパターンだが、ちょっと古めのマンションになると結構多くて
中古マンションを購入した人は、まず床をカーペットからフローリングへとリフォームする人が多い。
リフォームの際、コンクリート直にフローリングを貼る事は技術的に可能なのだが、
そうするとカーペットの時と比べて4倍音が階下に響くと言われている。
さすがにこれはトラブルの元となるので、マンションの管理団体で
「フローリング工事に関する規約」を設けている場合がほとんど。
遮音性能を持ったフローリングを使用する。もしくは、
「遮音材を併用し、同程度の遮音を達成する事」を義務づけられる。

新しいマンションだと、二重床が標準となっている(と思う)。
二重床に関してはこちらのエントリーを参考に。
ただし、二重床が採用され始めた頃の物件は、ここに断熱材が詰め込まれておらず、
GL工法の壁同様に太鼓現象を引き起こしてしまうので、注意が必要。

前述の「フェルト+カーペット」の床から二重床へとリフォームする事は可能なのだが、
二重床にすると床面の高さが上がり、扉等の建具を調整、交換する必要がでてくる。
結果、かなり大掛かりなリフォーム工事となってしまう。
ただし、本格的な防音を・・・と言う事であれば、二重床の採用は必須条件。
ちなみにコンクリート直に貼る遮音フローリングは、あくまで生活ノイズレベルの遮音が目的なので
本格的な防音とは別物。

天井に関しては二重天井(?)になっている事が新古問わず多いと思われる。
二重になっていれば、そこを配線、配管スペースとして使えるので、建設側のメリットも多い。
このスペースに断熱材を仕込めば、上階の音を幾分軽減できるし、こちらからの騒音も軽減されるハズ。
ただ、天井が2重になっていると、その分天井が低くなっている訳で、
リフォーム時に取っ払ってしまい、天井高をあげつつ、コンクリートや配管をあえて露出し、
その風合いを楽しむ人も少なくはない。

床、天井はこんな感じ。

最近はエコ住宅なんて言葉もあるので、断熱材は積極的に使用されている事が多いと思う。
窓に関しても2重サッシ、あるいはガラスが2重になっている物が採用されている例は多い。
断熱は遮音にもつながる事が多いので、新しいマンション程、遮音性が高いと考えて間違いないかと。

posted by h_asanaka at 00:36| Comment(0) | column-防音

2012年03月06日

防音(マンションの場合)の話 2


前回がマンションの構造に関する話だったのに対し、今回は専有スペース内の話。

前回のエントリーで、
「新しいマンションほどコンクリート壁が厚いとは限らない」と書いたが、
これは建材の遮音性能の向上による所もある(と思う)。
つまり、新しいマンションはコンクリート壁の厚みに関わらず、高い防音性を発揮していると言う事。


まず、古めのマンションだと、コンクリート壁に直接壁紙を貼っている物件が多くみられる。
(ウチのマンションはボロいのでコレ(涙 )
この手法は結露の問題が出たりもするので、最近のマンションにはまず見られない。
好みの問題でコンクリート剥き出しにする人もいるけど。
この場合、戸境壁はコンクリート壁、間仕切りの壁は石膏ボードという複合状態になるので、
場所によって画鋲が刺さらない・・・という部屋になる。
叩いてみればどの壁がコンクリートで、どれが石膏ボードかは簡単にわかります。
更に、天井もコンクリート直に壁紙、床はコンクリートの上に「フェルト+カーペット」という事も。
天井、床に関しては、別で詳しく書いてみる(つもり)。

次にGLボンドという物を使ってコンクリート壁に石膏ボードを貼付ける「GL工法」を採用した物件。
この場合、コンクリート部分が直接人の手に触れる事はなく、全ての壁の表面が石膏ボードとなるので、
どこを叩いても感触は同じになる。
(常識的にこの壁の向こう側はコンクリートだろう・・・という予想はつくけど)
どの壁にも画鋲が刺せる状態。

GL工法は、団子状のGLボンドを等間隔にコンクリート壁に塗りつけ、そこに石膏ボードを貼る。
結果、コンクリート壁と石膏ボードとの間に空間ができるのだが、実はこの空間がかなりのクセもの。
コンクリート壁と石膏ボードとの間で音が反射、共鳴し、音が増幅される
俗にいう「太鼓現象」と呼ばれるものがおこる。
この現象により、隣家に通ってしまう音がより大きくなってしまうのである。

新しめのマンションではGL工法は使われておらず、コンクリート壁の前に骨組+石膏ボードの
壁を新たに作り、その間に断熱材を仕込んでいると思われる。(実はよく知らなかったり(汗 )
GL工法と同様に空間はできるが、断熱材が吸音材の役割を果たすので、太鼓現象は起きにくい。
他の間仕切り壁の空間にも断熱材が使用されていれば、結果として防音性は上がっている(ハズ)。

で、この断熱材。
一般的にはグラスウールやロックウールといった類いの物が使用されるが、
断熱材として使用されるグラスウールと、吸音材として使用されるグラスウールとでは密度が異なる。
断熱材に使用される物は12K/㎥程度であるのに対し、吸音材の場合は32K/㎥が一般的。

グラスウールとロックウールを比較すると、吸音性能に大きな違いは無いが、
ロックウールの方が重いので遮音性が高くなる。
吸音材では、グラスウールが32K/㎥なのに対し、ロックウールは96K/㎥が一般的。

という訳で壁はこんな感じ。

築年数に関わらず、リフォーム工事をすれば、断熱(吸音)材を仕込んだ壁を作る事は可能である。
ちょっとした防音ルームを作ろうと思ったら、まずはこの辺りから始める事になると思う。
新たな壁の厚みの分だけ部屋は小さくなってしまうけど。

つづく。
posted by h_asanaka at 12:50| Comment(0) | column-防音

防音(マンションの場合)の話 1


いきなり防音の話。
特に役立つ話でもないが、知っていると役立つかも?程度のお話なので、
興味の無い人は適当に読み飛ばしてください。


鉄筋コンクリート(RC)もしくは鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)構造のマンションが
遮音性に長けている事は、以前ココで書いたと思う。
分譲マンションの場合、ほぼ全てのマンションがRC構造であると思われるが、
賃貸マンションの場合は、RC構造のマンションはどちらかと言えば少数で、
ある程度の大きさをもつ、ファミリー向けのマンションでないと、
RC構造の物件を見つけるのは難しいかもしれない。
さらに、マンション自体はRC構造であるが、各部屋の戸境壁( ex)502号室と503号室との境の壁 )
がコンクリートで無い場合もあるので、注意が必要。


コンクリートの壁が厚い程、遮音性も高くなる訳だが、
基本的に、築年数の浅いマンションの方が、壁の厚み(スラブ厚)が高い傾向にある。
しかし、最新のマンションが一番厚いのか?と言うと、そうとも限らないので、あくまで参考程度に。
ただ、築30年以上経っている物件は、国の耐震基準が変わる(1981年)前の物件なので、
最近のマンションと比較すると、かなり薄いかも知れない。

次に、各住居・・・いわゆる専有スペースの構造についてだが、
マンションの構造にはラーメン構造と壁式構造というものがある。

簡単に書いてしまうと、
各専有スペースの境(戸境壁)のみがコンクリートの壁の場合は、ラーメン構造で、
専有スペース内の各部屋の間仕切り(例えば、リビングと寝室を囲う壁)もコンクリートの場合は、
壁式構造という事になる。

ラーメン構造の場合、専有スペース内の間仕切りは、木材(軽量鉄骨)+石膏ボードの場合が多く、
リフォーム時には自由に、移動、排除、追加する事が許される。
3LDKを1DKに・・・というような間取りの変更が可能。
対して、壁式構造の場合、コンクリートの壁は弄る事が出来ないので、間取りの変更は不可能となる。
(両構造共に、コンクリート壁は共有物となっており、コンクリート部分に手を入れる事は
 建物の強度低下に繋がるため、勝手に穴を開けたり、ビスを打つ事さえ禁止されている場合が多い。)
比較的、古いマンションに壁式構造は多い。

壁式構造は専有スペース内での防音に長けている(リビングの音が寝室に聞こえない等)が、
各部屋の広さを変えるような事はできないので、物件を選んだ時点で部屋の広さも決まる事になる。
ラーメン構造の場合は、そのままでは専有スペース内での防音にはやや難があるが、
間取りを自由に変える事ができるので、金銭的問題を別にすれば、自由に防音部屋を設計できる。

つづく。

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2010年11月03日

防音 その6

防振材

その名の通り振動を抑えるための物。

まず、遮音性能の高い物質とは硬質で重量のある素材である。
鉄筋コンクリート造りのマンションが遮音性が高い理由は、
コンクリート壁自体が高い遮音性能を持っているからである。
(ちなみに、鉛はコンクリートよりも比重が高く、コンクリートよりも遮音性能が高いらしい)

音は、空気以外に振動によっても伝達する。(糸電話が良い例)
この振動を防振材で吸収し、振動による音漏れを緩和する。

一番良く目にする防振材は、ホームセンター等で扱われている防振ゴムだろう。
この他には、防音カーペットも防振材と呼ぶ事が出来るかもしれない。
(防音カーペットは、そもそも物が落下した音や、足音などの床衝撃音を防ぐ目的で作られているので)


遮音シートや吸音材で防音したところで、振動によって音漏れを起こしていては意味が無い。
床を2層床にしても、その足で振動が伝わると階下に響いてしまう。
その振動を緩和するために、足部分には防振機能のある物を使うか防振材を噛ませる。
また、遮音シートや吸音材を含んだ新しい壁を設けた場合も、その壁がどこかに接していれば
当然振動は伝わるので、その部分にはやはり防振材を噛ませるべきであろう。

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2010年10月28日

防音 その5

吸音材

音楽スタジオで吸音材といえば、音響を整えるための吸音材を連想すると思うが
ここで取り上げるのは、あくまで防音の為の吸音材。
もちろん音を吸うという点では効果は同じなので完全に別物という訳では無いが
形から全く違う物なので分けて考えた方が良いだろう。

吸音材で代表的な物にはグラスウールロックウールの2つがある。
名前だけ聞くとアスベスト(石綿)を思い浮かべるが、これらは人体には無害・・・というか
今の所、問題になった症例は無いらしい。詳しくは下記リンクで。

http://www.glass-fiber.net/anzen/index.html
http://www.rwa.gr.jp/faq/blow.html

触れるとチクチクするので、作業時には軍手、作業着は必須。マスクも必須。


グラスウールに比べて、ロックウールの方が高価であるが、吸音性能にはそれほどの差は無い。
しかしロックウールの方にはある程度の遮音性もあるらしい。

グラスウール.jpg
グラスウール 10kg/m3*50mm厚*910mm巾*22m ◆旭ファイバーグラス

ロックウール.jpg
MGベルト ALGC貼(ロックウール保温帯) 70K*25t*605*3640 (2枚入)

グラスウール、ロックウール共に、あくまでも建材であるので素材が露出する使い方は出来ない。
あくまでも、壁や床の中に入れてしまう事が前提。

しかし、このグラスウールやロックウールをガラスクロス等で包んで、ボード状にした商品がある。
GCボード.jpg
パラマウント硝子 GCボード (グラスウール吸音材)

これであれば、壁面に吸音材が露出しても問題は無いので、新たな壁面を作る必要は無い。

なので、既存の壁に遮音シートを画鋲で貼付け、さらにその上にこのGCボードを取り付ければ
とりあえずの防音壁は完成する。
吸音材が露出しているので、室内の音の反響も抑えられるという音響的メリットも受けられる。
(それが必ずしも良いとは言えないのだが)

こんな施工例もあるので、観てみれば「俺でも出来そう!」って思うかも。
俺は思った。

タグ:防音
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2010年10月27日

防音 その4

防音材

防音材と書いたけれども、前述したように防音とは
遮音、吸音、防振 の3つによって成り立つので、
それぞれの目的に適した素材を併用する必要がある。

その説明の前に、、、

 スタジオを設けるのに、一番適したスペースは地下室だろう。
 防振という点で何よりも優れている。
 防音で注意する必要があるのは、人が出入りするスペースと通気口、
 それとあれば窓(半地下の場合)だろうか。

 地下室のような特殊な環境を除けば、防音に適した家屋の造りは
 SRC、もしくはRC(鉄筋コンクリート)である。
 戸建て住宅で完全なRC造りはかなり高価なお宅で、マンションが主流だろう。
 木造住宅は、最も防音には適さない。
 (木という建材が 鳴る からかな? よう知らん。)

 それと、防音効果の高い素材は全般的に比重が高いと考えて良い。
 例えば遮音材では、鉛シートが一番遮音性が高いとされているが、めちゃくちゃ重い。
 遮音カーテンだって、通常のカーテンと比べれば重いし、防音カーペットも重い。
 それらを導入した上で、さらに機材等を搬入する訳だから、木造住宅の場合は
 まず部屋自体がその重量に耐える事ができるのか検査をする必要がある。


遮音材

遮音とは音を遮る事であるので、音を跳ね返せば何でも良いのだが
それを言ってはおしまいと言うか、施工に適したものが用意されている。

遮音シート
遮音シート.jpg
日東紡 遮音シートJシリーズ

比重の高い軟質のシート。
タッカーを使うか、強力な両面テープで壁に貼付ける。
両面テープの場合は壁紙の上に使ってしまうと、壁紙と一緒に剥がれる可能性もあるので
壁街をはがして貼付ける方が懸命かもしれない。(遮音シートの重さと相談)
軽い物であれば画鋲で貼付ける事も可能。
しかし、シートの重さと遮音性能はほぼ比例すると考えて良い。


鉛シート
鉛シート.jpg
ソフトカーム

鉛を施工しやすいようにシート状にしたもの。
遮音シートより高価で重いが、効果も高い。

遮音シートの張り付けで注意したいといけないのは、シートとシートの隙間をあけないという事。
つなぎ目を幾分重ねて貼付けるか、もしくは
遮音テープ.gif
ゼオン化成 サンダム遮音テープ (0.7mm×幅50mm×10m巻) 1巻

このような遮音テープで継ぎ目をふさいでおく。

ちなみに遮音材だけでは防音効果は全くない。
遮音シートは音を跳ね返すだけなので。
そこで跳ね返った音を吸収する吸音材をこの上に貼付ける。



タグ:防音
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2010年10月26日

防音 その3

窓の防音

窓を活かすのであれば2重窓だが、防音と言う点では壁でふさいでしまうのが一番。

 空港近くのマンションや、車の通り多い場所のマンション等は、
 最初から2重窓なり2重サッシになっている事がある。
 音楽をやっていると、そういう物件を観るだけで「ウホッ」と興奮してしまう。
 ただ、勘違いしてはいけないのは、外からの騒音が酷いからそうなっているのであって、
 住人の発する音が外に出ないように作られているのでは無い。
 エアコンのお世話になる夏や冬はともかく、気候の良い春や秋でも、
 騒音が酷くて窓を開けていられない事が予想される。

窓の防音の方法には他に遮音カーテンもあるが、これは「無いよりマシ」という程度。


ドアの防音

色々な種類の防音ドアが売られている。
防音効果の高いドアは高価で、重量も相当な物。(スチールドア)
取り付けようとしている壁によっては、
重量の問題で壁が耐えきれず、取り付け不可の場合も。

スペースが許せばの話ではあるが、高価なドアを取り付けるよりも、
半額以下の安価なドアを2つ取り付けた方が、良い結果が得られる事もある。
(高価なドアの金額 > 安価なドアの金額×2 での話。)

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ただ、ドアは基本的に室内に付いているものなので
家族の協力と理解が得られれば、ある程度の音漏れは許してもらえるかも知れないし、
音の侵入を防ぐという点も、ある程度コントロールできるだろう。

ドアの取り付けは、ドアを閉めた時に完全に部屋が密閉されるようにする事が重要。
いくら高価なドアを取り付けても、隙間が空いていればいくらでも音は漏れるし入ってくる。

防音は「隙間を無くす」事が何よりも大切であり、基本である。

そういう意味では、今の環境の"隙間”を再検証するだけで、
それなりの防音が出来てしまうかも知れない。
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2010年10月25日

防音 その2

防音の目的

1.外部の音がスタジオに入らないようにする防音。
2.スタジオの音が外部に漏れないようにする防音。

どちらの目的であってもやる事はほぼ同じなのだが、
どちらがより重要で、どの程度の防音が必要なのかを良く考慮する必要がある。

例えば、音声等を収録するために防音スペースが必要なのであれば、
1の要素が非常に重要になる。

2の要素に関しても、隣接する部屋が無かったり、外が非常にうるさい環境なのであれば
音を出す時間さえ気をつければさほど神経質になる必要は無いだろう。
また、どの程度こちらが音を出す必要があるのか?も大きな要素である。
ドラムを叩くのであれば、相当な防音設備が必要であるし、DAWでの作業がメインであれば
元の家屋の造りによっては、さほど防音処置は必要無い場合もある。


防音の方法は、wabで検索すればいくつかHITするがほぼ全て同じ手法。

床の防音

現在ある床の上にもう一つ床をつくって、前述の空気層を設ける。

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現在ある床の上に遮音材(防振材)を敷き、その上に空気層を設ける。

空気層を設ける為に
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このようなモノを使い、この上に新たな床を設ける。
この空気層に吸音材を敷き詰めれば、床で跳ね返された音を吸音してくれる。

新しく設けた床上にさらに遮音シートを敷き、露出する床面(フローリング、カーペット等)をつくればok。

web検索をすればいくつか施工例がでてくると思う。

壁の防音

壁も床と同じく空気層を設け、そこに吸音材をいれる。

1010253.jpg


この時、新しい壁をどのように設置するか。また、吸音材をどのように固定するか、が問題。

壁から少し離した所に、骨組みを組む。この骨組みの固定は天井と床で固定する。
既存の壁に触れていては、振動が伝わるので防音効果が下がる。
又、床と天井との固定の際にも、間に防振ゴム等を噛ませる事によって、振動の伝達を抑える事ができる。

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骨組みのマスの中にも吸音材を詰め込み、この骨組みに新しい壁を打ち付ければOK。
骨組みの材質は、木材だったり金属だったり・・・。
これを数回繰り返せば、どんどん防音効果は上がる。部屋は狭くなるが。。。。



天井の防音は、吊り天井という方法があるが、要はここにも空気層を設けるという事。
さすがに天井への施工なので、素人が手を出すと下手したら命に関わる事故にもなりかねないので

パス。

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2010年10月24日

防音 その1

 防音=遮音、吸音、防振 + 徹底的に音漏れを防ぐ・・・空間を密閉(?)する。


 遮音 音を遮る。音を通さない、跳ね返す。   
 吸音 音を吸う。音を跳ね返さない。
 防振 振動伝達による、音の伝達を防ぐ。


 防音の観点では、空気層を設ける事が非常に有効。

 簡単に例を挙げると、
 携帯電話を、厚さ10mmの木材で作った箱に放り込むよりも、
 まず、厚さ5mmの木材で作った箱に放り込み、
 その木箱をさらに5mm厚の木材で作った箱に入れた方が防音効果は高い。
 現実的には不可能だが、中の小さい木箱が外側の木箱に触れず浮いている状態が理想。
 触れていては、10mm厚の物と結果はあまり変わらない(と思う)

 (但し、太鼓効果と言われる音の共鳴現象が起こる可能性もある。)

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防音室に関しても、この状態を再現する事が高い防音性能に繋がる。
部屋の中に部屋を作る訳だから、壁面に空気層を設ける事は特に難しい事では無い。
問題は上下の床と天井で、完全に宙に浮かせる事は不可能。
なので、床、天井の設置面を極力少なくし、その設置部分に防振処理を施す。


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