ここまで、マンションの構造の違いによる遮音性能の差を書いてきたが、
ピアノやドラムを奏でる事を目的とした防音を望むのであれば、
マンションの新古を問わず、デフォルトの状態のままではまず無理。
業者に入ってもらって、本格的な工事を行わない事には自由に弾けないだろう。
しかし、DTMのミックスレベルの話なら、RC構造のマンションであれば、
多少の工夫は必要かも知れないが、それなりに音を出しても問題ないレベルではあると思う。
深夜とかはまずいけど。
一応、ここで書こうと思っている事は、DTMのミックスやボーカル録りレベルで、
どういう部屋が適していて、どういう部屋にどのような問題が発生するか?という話。
隣、階下に居住スペースの無い部屋であれば、随分と気が楽なんだけどね。
これまでのエントリーでの結論として
「GL工法の壁、吸音処理のされていない二重床を採用している部屋は音だしに向かない」
という事が言える。
床に関しては、音がそのまま階下にもれる事はあまり無いが、低音が壁を伝って階下へと響く。
足でリズムをとる癖のある人は、その音が階下に響く事もある。
物件を選べる状況にあるのならば、この条件に当てはまる物件は避けた方が良い。
次に、コンクリート壁が剥き出し、あるいは直に壁紙 のような部屋の場合。
防音の面では前述の部屋よりは良い状況と言えるが、音響の面で大きな問題がでる。
コンクリート壁は遮音性が高い分、めちゃくちゃ音を反射するのである。
ウチはこのパターンにあたる訳だが、夜の静かな時だと、二つ折りの携帯電話を開く音の響きさえ解る。
手を叩いてみると、ビィィィィィンとフラッターエコーが。もう、鳴き竜の嵐と言った所。
とにかく音を反射しまくるので、音の定位感が狂いまくる。
ウチは戸境壁がコンクリートで、その対面が石膏ボードの壁のパターン。

図のようにスピーカーを設置した場合、パンを左に振り切れば出音も左にふれるが、
右に振り切った場合、コンクリート壁の反射が強すぎて、センターに聞こえてしまう。
この場合、コンクリート壁を背面にして、スピーカーを設置すればマシな状態にはなるが
やはり音の反射は凄まじいので、音像がぼやけたり、バスレフが後部にあるタイプのスピーカーだと、
低音の持ち上がりが凄い事になるかもしれない。
当然、このような状態なので、マイクを使った録音にもまったく適していない。
この事から、コンクリートと比べ、石膏ボードがいかに音を通してしまっているか?という事も解る訳で、
ボードの向こう側に仕込まれる断熱材(吸音材)が、いかに有効か?という事も想像できる。
音響の面ではGL工法云々の部屋の方が、それぞれの壁面の条件が近くなるのでマシだと思う。
続く。